愛のカタチ

2002年3月14日


ツラかった。いきなり涙が滲んできた。


話をしてたのは、あゆん・彩さん・せーかちゃん・私の4人。
他にも、まめちゃんとか、みりるさんとか居たけど。

彩さんはあゆんが前に好きだった人。3年間、想い続けた相手。
せーかちゃんは私の大の仲良しであゆん・彩さんとも共通の友達。

みんな女で、あゆんが私を好きだって事、みんな知ってる。
でもせーかちゃんだけ他校で。
今日、せーかちゃんが久々に遊びに来たの。

私の好きな人、とっても大切な人。
そんな人たちが楽しそうに話してるのを見るのが、好き。

でもせーかちゃんは滅茶苦茶冗談が好きな人で。
彩さんが素でボケて、それに対して

「もーそんな可愛い事ばっかやってると、襲うよ!?」

って、言った。

確かに彩さんは可愛い。
むしろ守られる側、とみんなに形容されてる私でさえ、守ってあげたい!って思うくらいに、可愛い。私だって、せーかちゃんのその気持ちは解らなくも無いけれど。

そしたら、あゆんが睨んだって。

「ちょっとあゆん、目がマジ!」

せーかちゃんがそう笑うと

「んーやっぱ、過去の柵(シガラミ)ってあるからね」

淡々と、無駄な感情を含めない真剣な声であゆんが言って。


……無理だった。
瞬発力の欠片も無い私なのに、弾かれたように顔を上げて。

…あゆんはやっぱり心の何処かで彩さんの事を愛してる。
あゆんの全部を、私で一杯になんて出来ない。

そんなの、別に彩さんに限った事じゃない。
あゆんが或る種尊敬の念を抱いてる彼にだって、私は勝てない。


愛の形って、人それぞれだと思う。
私の中にだって、色とりどりの"愛してる"が在るから。

友達の愛。尊敬の愛。憧憬の愛。
数え切れないほどの愛。沢山の愛。
どれも大切で掛け替えが無くて、失くせない愛。
だから、たとえあゆんが彩さんを諦めた今だとしても、其処には何かしらの形で揺ぎ無い愛がある。

解ってるわ、そんな事。

でも。
あの時のあゆんの声の裏には、「彩は私の!」っていう、
……独占欲、みたいなものが見え隠れしてた。

欲張りなのかな?

私以外求めないで欲しい。
あゆんには、私だけを見つめていて欲しい。


うわ、って思った瞬間、涙が溢れてきて。

あゆんの顔も彩さんの顔も見れずに、せーかちゃんにだけ

「ちょっと外出てくる」

って言って、その場から逃げた。

「いってらっしゃい」

せーかちゃんは、にっこり笑ってた。
彼女に邪気は無い。
少しでも皆が楽しくなれるようにって、いつも一生懸命だから。

平然を装ってさり気無く部屋を出て、ドアを一枚隔てただけの隣の部屋の死角に座り込んで、膝を抱えた。
そしたら、我慢してた涙が零れて。

声を殺して泣きじゃくって。
何でこんなに涙が止まらないのか、何がこんなにツライのか。
考えながら泣いた。

わからない。わからない。


「私だけを見てよ」


殺しきれない嗚咽に紛れて、呟いた。
言ってから、自分で驚いた。

何、馬鹿なコト言ってんのよ。

そう思ったらもっと涙が止まらなくて。
スカートの上に落ちた雫、放っておいたら、ちょっと本気で冷たかった。


どのくらい泣いただろう。


多分15分くらいだろうな。


いい加減気分落ち着けようと深呼吸してる所に、ドアが開く音が聞こえた。
誰?思いながらも、暗がりの死角にいる私に相手は気付いてなくて。
私の方からその人も見えなくて、息を殺して様子を窺った。

その人って最終的に、探し物に来たまめちゃんだったんだけど。


何度かこっちも見てるのに全然気付かないもんだから、

「…気付かないし!」

ってツッコミ入れてやったら悲鳴上げて驚いてくれて。
私も涙を誤魔化す為に爆笑しながら出て行って。

「もぉなんでそんなトコにいんのよ!」

自分のリアクションで更に爆笑しながら、まめちゃんが言う。

「なんとなくー」

とかやってたら、騒ぎを聞き付けてあゆんがこっちの部屋に来て。
みんなで笑って。

「哉也ちゃんヤダよっ!もぉー!!」

なんてちょっと怒り気味で笑いながらまめちゃんが元の部屋に駆け込んで行って。一頻り笑ってから、私も元の場所に戻って、また座り込んで。

あゆんも部屋に戻ったのかと思ってたら、そうじゃなかったらしく。

静かに、俯いた私の目の前までやってきて。
もしかしたら私の所に来るタイミング、計ってたのかも知れない。

「哉也?」

小さく声、かけてから、頬に手をかけて上向かせられた。

「また、嫉妬…させちゃった?」

「…大丈夫ですよ?」

言っても、信じてくれなくて。

イキナリきゅっ、て、抱き締めてくれて。
あゆんの、優しさが痛くて。
なんか全部ワケ解らなくなって来ちゃって、縋った。

「御免な」

謝る必要なんて無いのに。あゆんは、何も悪くないのに。
暫くそのまま抱き締めてもらって、離れた。

「大丈夫、ですから」

言って、笑ったら。

「…動くなよ」

って、小さく言ってから軽く、頬に口吻けられた。

………倒れるかと思った(笑)

思わずまたあゆんの胸に倒れ込んで、顔が赤いのを誤魔化した。

「あーもう…っ!恥ずかしい事して下さるっ!」

って言ってから顔を上げたら、

「口の方が良かった…?」

とかなんとか…っ!
マジでされる、って思って、つい逃げちゃったんだけど。。。

嫌なワケじゃない。
ただ…私のファーストキスを奪った男が、キスをしてくる時にいつも、怖い目をしていたから。
本能的に、怖れているんだと思う。

唇にされるキスって奴に。

それを伝えたら、

「無理、しなくても良いんだからな?」

って、言ってくれて。
また、抱き締めてくれた。

私にとって、あゆんが居ればそれで良い。
あゆんが居る、それだけでその場所が素晴らしいと思える。


……正直、此処まで惚れるとは思わなかった。

此処までの愛しさを憶えるなんて。


せーかちゃんにこの事バラしたら、

「アンタ…本気で惚れ抜いてるのね」

って言われたし。


 


これで良いのかなって思う瞬間もある。
でも、私はこれで良いだろうって思う。

これが私の生き方なんだから。
これが私の想いなんだから。

間違ってなんか無いって、そう、思える。


 


 


想っても良いよね、あゆん?


 

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