サヨウナラとゴメンナサイ。

二人きり。
私の隣に居るのは、あゆんとは別の……　男の人。

親友の彼氏。

告られた。
『アイツより、哉也のこと好きになった』
そんな風にいう奴、信じたくも無かった。
でも、確かにあの子と彼の間には埋められない溝が出来ていて、
二人の関係はもう絶望的だった。

『哉也と出会えて良かった』

『だってオレ、あいつと付き合ってるだけじゃこんな風に物事考えられなかったもん』

『哉也の事、幸せにする。大事にするよ』

こうやって書き並べてみると、なんて有り触れた口説き文句。
……なのにどうして、私はそいつの腕の中に収まってるんだろう？

それが、親友であるあの子を悲しませるだけだって解ってるのにね。

本当は好きだったんだ。
初めて顔見た時から、彼のこと。
『あの子の彼氏なんだから…』っていう理由で、最初から諦めてた。
でも、告られたりなんかしちゃったら。

揺らぐって。


そんな私の脳裏を掠めたのは、あゆん。

誰が好きなの？
誰の物になりたいの？
私は、何を望んでいるの？

『人の為になる事』

それは誰と決めない、私の中での大事な人たちみんなに対して。
その一番が、あゆんだった。

なのに私は、彼を選ぶっていうの？

遠まわしにあゆんに話したら、『哉也の思った通りにしな。私はそれで、御前の事を憎んだりはしねぇから』って、言ってくれた。

私は、誰の為になりたいの？

答えは出てない。

でも、今の私は彼を支えたい。
あゆんとは恋人同士で無くても支え合って行けるって理解るから。


そして訪れたのは、恋人関係の終わり。

…自分でも吃驚してるんだよ。
あんなに強かった想いがしぼんでしまったから。

あゆんは、私のことを憎まないって言った。
恋人で無くても、一人の人間としてずっと好きだって言ってくれた。

私も同じ気持ちだよ。

でも、私が心も体も捧げたいのは、彼なんだ。


　


ごめんね。

これからもずっと好きだよ。