新学期ですな。
2002年9月2日学校が始まった。
もう通うのが当たり前になった学び舎。
何処か懐かしい香りがしたような気がする。
正門をくぐると、『また世界が一色になるのかな』って思った。
学校って言うのは、
暗号めいた授業をやって、
その場限りのおしゃべりをして、
やってもいない宿題を写して、
代わり映えの無い面子でお弁当を食べて、
夢見る程に深く居眠りこいて、
なんだかんだしてるうちに気付いたら終わってる。
それは、まるきり単色の世界。
一瞬一瞬が全く意味を持たない世界。
現像に失敗した白黒写真みたいな。
『ツマラナイ』
憂鬱になる。
他の科とは別棟になった自分の授業棟に入る。
途端、なんか哀しくなった。
孤立した棟だからかな?
他の科との接点がない棟だからかな。
廊下で彼と擦れ違う事の在り得ない棟だから、かな…?
不意打ちで、頭の中にあったパズルのピースが組み上がった感じがした。
ホント、湧いて出たみたいにして気付いた。
当たり前のように彼 ── バーヤンの事ばかり考えてる自分に。
放課後になれば会える。
そろそろコンクールがあって、急ぎで現像しなきゃならないから。
「どう?」って手元を覗かれたり。
同じ暗室に入って後輩の現像のアドバイスしてる時、なんとなく、頭を撫でて貰えたり。
現像してる時に隣室からバーヤンの声が聞こえたり。
そんな些細な事とか。
『ウレシイ』
ドキドキする。
何の為に学校行ってんのって訊かれたら、
答えは『高卒って資格が欲しいから』。
でも今の私は、資格よりも卒業証書よりも、別のモノが欲しい。
望んでいるモノのすべてを手に入れる事なんて出来ない。
解ってる…… けど、私はバーヤンが欲しいんだな。
もしかしたら、叶わぬ願いかも知れないけれど。
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